シロー・アマダは、機動戦士ガンダム第08MS小隊に登場する、オールドタイプの主人公です。

他のガンダム作品とは違い、シロー・アマダは特別な力を得ている人物ではありません。努力によって培った技能、そして機転を利かせることができる勝負度胸、これらを使い回して激戦を潜り抜けるという、泥臭い主人公として描かれています。

どのようなところに魅力があるのかというと、それは、機動戦士ガンダム第08MS小隊の世界観にマッチしているところでしょう。機動戦士ガンダム第08MS小隊そのものが泥臭く、戦争の最中で起きた悲劇、また、戦争に巻き込まれてしまったものの憎しみ、恨みなどを受けて、地域内の紛争を片付けていくという内容になっています。

シロー・アマダは、青年士官として活躍するようになっていくのですが、機動戦士ガンダム第08MS小隊に登場する味方のほとんどは、長引く争いの影響で荒んだ心になっています。上官の言うことには従うけれど、心のどこかでは青年士官に何ができるのかと馬鹿にしていたり、シロー・アマダに衝突してしまう人物まで出てくるのです。

軍人としての規律がない環境の中、シロー・アマダはめげずに戦闘を進め、そして、仲間からの信用を得るようになっていきます。また、このようなストーリーのほとんども泥臭いです。

例えば、武器弾薬などの補給が上手くいかないため、節約して戦うシーンも出てくれば、戦車などを動かして敵の居所を探るシーンなど、機動戦士ガンダムを見ていると、あまり見ることがなかったシーンが出てくるのです。その際、仲間たちに的確な指示を与えるのが、シロー・アマダの格好良さでしょう。

シロー・アマダは、その他にも魅力のある人物で、敵側の女性であるアイナ・サハリンと親しい関係になってしまいます。機動戦士ガンダム第08MS小隊では、主人公以外の恋愛もストーリーに組み込まれているため、このような要素も楽しめるようになっているのですが、シロー・アマダ、アイナ・サハリンに関しては、恋愛が成就すれば良いのだけどと、ついつい見守ってしまうほどの内容になっています。

というのも、アイナ・サハリン周辺のキャラクターたちが、戦争で没しているからです。そのため、シロー・アマダは生きるとは何なのかを学ぶようになり、アイナ・サハリンと添い遂げることを誓うようになり、激戦の中でも諦めずに戦うようになっていきます。

機動戦士ガンダム第08MS小隊は、主人公のシロー・アマダ以外もユニークで、テリー・サンダースJr、カレン・ジョシュワといった、上官に対して絡むことが多いキャラクターが多く出てきます。真面目で頼りがいのあるテリー・サンダースJr、そして、最初はシロー・アマダのことを認めていなかったカレン・ジョシュワが、段々と力を合わせていくようになる、このような要素こそ、戦争ものでありながら、ガンダム作品にハマってしまう所以でしょう。