ギレン・ザビは、ジオン公国の独立を掲げた人物であり、ジオン公国の総帥として、多くの作戦を指揮した人物の1人です。

ギレン・ザビ以外のザビ家の人物には、デギン・ソド・ザビ(ギレン・ザビの父親)、キシリア・ザビ(ザビ家の長女)、そしてドズル・ザビ(三男)、ガルマ・ザビ(四男)がいるのですが、ギレン・ザビは野心家として活動している一面があり、そのため、段々とザビ家の中でも窮地に立たされるようになっていきます。

ギレン・ザビは、ファーストガンダムにおいて多くの作戦を立案している天才でもあるのですが、それもそのはず、IQ200という超天才なのです。ただ、これほどの人物であっても、ジオン軍の戦果は段々と華々しいものでは無くなっていきます。

また、ギレン・ザビの影響もあり、ジオン軍は好戦的な人物が多いかのように思ってしまいますが、地球連邦軍に対して要求を突きつけても、その要求が長く通らなかったために、戦争を仕掛けるようになるという背景があります。つまり、ジオン軍が好戦的というより、どちらかというと地球連邦軍であり、地球側の政治に様々な問題が生じていたのです。

これについては、ファーストガンダムだけでなく、続編となるZガンダムでも良く出てきますし、その影響でジオン軍のような勢力が誕生する、そんなシーンまで出てくるのです。

ギレン・ザビは、冷酷非情な人物として知られていることも多いのですが、それは、父であるデギン・ソド・ザビがいることを知りながら、ソーラー・レイを放っているため、当然と言えば当然のことなのかもしれません。戦いに勝つためなら何でもやるを地でいっているのですが、このような行為に対して、見方内でも賛成派、反対派が生まれるようになっていきます。

このように、味方が一枚岩になって動かないところが、ファーストガンダムの魅力でもあります。戦争の影響もあり、人というものの内側が見え隠れしている、凶暴な人物に至っては、使用禁止の兵器を使うことも、コロニー落としなど質量兵器に頼る場面まで出てきます。

ガンダム作品は、モビルスーツ、モビルアーマーといった、機械同士の戦いを見るだけでなく、人というものがどのような生き物なのか、そして、頼れる仲間たちがどれほど信頼に値するのか、そのことを学べる作品となっているのです。

また、ギレン・ザビの暴挙とも言える行為は、最終的に自業自得という形で精算させられることになります。というのも、ギレン・ザビのことを快く思っていない人物の凶弾によって、ギレン・ザビは打ち倒されてしまうからです。

ガンダム作品は、わかりやすい勧善懲悪を良しとしているわけではありません。戦争をテーマにして、戦争、政治、人物を描いている作品のため、急に異様な行動を起こす人物が出てくると、納得できる反面でどこか悲しい気持ちになれるアニメ作品でもありました。

組織を思って身を捧げた人物がいるにも関わらず、独善的に動き回るギレン・ザビ、どのような思いを抱いて強行を繰り返したのか、このことに関しては、あまり作中で語られることが少なかったため、色々と考えさせられるシーンでもあります。